冬の寒さが和らぎ、各地でソメイヨシノの開花宣言が出されようとする3月下旬に、この原稿を書いている。
　大会開催地の姫路市は兵庫県の南西部、播磨平野のほぼ中央に位置する中核都市である。観光では、2015年に改修を終え、白さが際立つ姫路城（白鷺城）が有名である。いぶし瓦と漆喰によってシラサギを思わせる外観は、経年によりグレーに変色していくため、より早期に観ることが望ましい。4月初旬のソメイヨシノと姫路城のコラボレーション、10月に行われる灘のけんか祭りもあるが、残念ながら今大会時期では観ることは叶わない。
11月の紅葉シーズンならば書写山と好古園を訪れることがお勧めで、時間があるなら是非に観光して欲しい。
　今大会のテーマは、「基礎医学とSJF」である。基礎医学という言葉は、なぜか在学中には覚えがなく、勉強会に参加し始めの頃では宇都宮先生の言葉に応答できなかった。PT免許取得して7年経過した1990年代のことであった。関節運動学を応用して治療技術を教わる中で、個々別々に教わった解剖学・生理学・運動学・病理学を治療に活かすために再構築していく作業は楽しかったと記憶している。自分なりに、少し解りかけたと感じる頃、基礎医学が進歩したと教えられた、生物学であると。
　生物学とは、広辞苑では生物を対象として研究する学問であり、生物の種類や現象・研究手段によって多くに分類され、多種様々な学問が含まれる。運動器としての筋・神経・関節という器官に、基礎医学としての生物学がどのように関与しているか、それがSJFにどう活かされるか、基礎医学の進歩が治療にどのような恩恵を得られるか、整理できる貴重な機会と考える。過去の学術大会で個別に取り上げていたテーマに対して、現時点での集大成のように感じ、大きな期待をしている。
　大会はオンライン・オンデマンドでも開催されるため、足を運ばずとも参加できるが、可能ならば生の雰囲気を味わって貰いたい。会場近くの姫路駅は、新幹線の停車駅で空港からの直通バスもあり、交通の便は良い。生まれ育った姫路で、志を同じくする大勢の方々と、このような大会を開催できることは、とても嬉しく感じており、皆様の参加を望んでいる。